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初めての家庭教師選び|失敗しないための5つのチェックポイント

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こんにちは。
元中学校教師で、現在は教育コンサルタントをしている田中美咲です。

高校2年生の息子と、中学1年生の娘を持つ母親でもあります。

「うちの子に、そろそろ家庭教師を…」
そう考えたとき、期待と同時にたくさんの不安が押し寄せてきますよね。

どんな先生がいいんだろう?
料金はいくらくらいかかるの?
本当に成績は上がるんだろうか?

その気持ち、痛いほどよく分かります。

実は、私自身が長男の家庭教師選びで、一度手痛い失敗をしているんです。
「有名な大学の学生さんなら安心だろう」と安易に決めてしまい、結果的に息子との相性が合わず、親子で辛い時期を過ごしました。

この記事では、そんな私のリアルな失敗談と、教育のプロとしての知見、そして年間50件以上の家庭教師マッチング相談に乗ってきた経験から導き出した「失敗しないための5つのチェックポイント」を、包み隠さずお伝えします。

この記事を読み終える頃には、あなたの心の中にあるモヤモヤが晴れ、自信を持って「わが子にぴったりの家庭教師」を選べるようになっているはずです。

家庭教師選びに失敗する典型パターン

まず、私がこれまでに見てきた中で「これはうまくいかないな…」と感じた典型的な失敗パターンからお話ししますね。
もしかしたら、あなたも同じような考えを持っているかもしれません。
でも、大丈夫。
今ここで知っておけば、同じ轍を踏まずに済みますから。

学歴や肩書きだけで判断してしまう

「有名大学の先生なら、教え方も上手いはず」
これは、かつての私が陥った最大の失敗です。
もちろん学歴は素晴らしい努力の証ですが、「学力があること」と「教えるのが上手いこと」は全くの別問題です。
お子さんの気持ちを汲み取り、根気強く向き合ってくれる人柄かどうかは、学歴だけでは分かりません。

子どもの性格や相性を見落としてしまう

これは本当に多いケースです。
保護者の方が「この先生は良さそう」と思っても、肝心のお子さんが心を閉ざしてしまっては意味がありません。
特に、人見知りだったり、質問するのが苦手だったりするお子さんの場合、威圧感のある先生や、一方的に話す先生だと、すぐに勉強が嫌になってしまいます。

「すぐに成績アップ」を期待しすぎる

お気持ちはとてもよく分かりますが、家庭教師は魔法使いではありません。
長年の学習習慣や苦手意識は、一朝一夕には変わらないものです。
「来月のテストで30点アップ!」といった過度な期待は、先生にもお子さんにもプレッシャーとなり、逆効果になることも少なくありません。

コミュニケーション不足によるすれ違い

「先生にお任せしているから大丈夫だろう」と、指導の様子を全く確認しないのも危険です。
「思ったように進んでいない」「子どもが本当は嫌がっている」といったサインを見逃し、気づいた時には手遅れ…なんてことも。
先生と保護者の間の風通しの良いコミュニケーションは、成功に不可欠です。

契約前に確認すべきことを確認していない

料金体系やキャンセル時のルールなど、お金に関わることを曖昧にしたままスタートしてしまうケースです。
後から「教材費で高額な請求をされた」「辞めたいのに違約金が発生した」といったトラブルに発展することがあります。
少し聞きにくいことでも、最初にしっかり確認しておくことが、お互いを守ることに繋がります。

チェックポイント①:子どもの性格と相性を最優先に

数あるチェックポイントの中で、私が最も重要だと断言できるのが、この「相性」です。
どんなに素晴らしい経歴の先生でも、お子さんとの相性が悪ければ、成果は期待できません。

子どもが安心して話せる相手かどうか

体験授業の時、ぜひお子さんの表情を観察してみてください。
先生の話に、ちゃんと耳を傾けていますか?
分からない時に「分かりません」と素直に言えそうな雰囲気ですか?

うちの長男の場合、最初の先生は少し早口で、息子が口を挟む隙がないように感じました。
案の定、後から聞くと「質問したくても、タイミングが分からなかった」と言っていました。
これでは、せっかくのマンツーマン指導が活かせませんよね。

指導スタイルが合っているか

お子さんの性格によって、合う指導スタイルは異なります。

  • 引っ込み思案な子:優しく褒めて伸ばしてくれる、聞き上手な先生
  • マイペースな子:根気強く、子どものペースに合わせてくれる先生
  • 負けず嫌いな子:少し上の目標設定で、競争心を煽ってくれる先生

「うちの子、どんな先生が合うんだろう…?」と迷ったら、ぜひお子さん本人に「どんな先生だったら、勉強を頑張れそう?」と聞いてみてください。意外な答えが返ってくるかもしれませんよ。

親ではなく「子どもの目線」で選ぶ

最終的に勉強するのは、保護者ではなくお子さん自身です。
私たち親は、つい自分の価値観で「良い先生」を判断してしまいがちですが、一歩引いて「この先生は、うちの子の最高のパートナーになってくれるだろうか?」という視点を持つことが大切です。
うちの娘は今、大学院生の女性の先生にお世話になっていますが、「お姉さんみたいで何でも話せる!」と、英語の時間が大好きになりました。
これも、娘の「話しやすい人がいい」という意見を尊重した結果です。

チェックポイント②:指導力と人柄のバランスを確認

相性の次に大切なのが、もちろん「指導力」です。
ただ、この指導力も単純な学力だけでは測れません。
ここでは、指導力と、それを支える「人柄」の見極め方についてお話しします。

資格や学歴より「教える力」

「教える力」とは、難しいことを、いかに分かりやすく噛み砕いて伝えられるか、という力です。
これは、体験授業での解説の仕方でよく分かります。

  • 良い例:お子さんが間違えた時、「どうしてこの答えになったのかな?」と一緒に考える姿勢を見せてくれる。
  • 悪い例:すぐに答えを教えたり、「なんでこんな問題が分からないんだ」という態度をとったりする。

元教師の経験から言っても、生徒の「なぜ?」を引き出し、自分で考える力を育ててくれる先生こそ、本物の指導力がある先生です。

体験授業での様子をよく観察

体験授業は、先生を評価する絶好の機会です。
以下のリストを使って、ぜひ細かくチェックしてみてください。

  1. 時間通りに来たか?:社会人としての基本マナーです。
  2. 清潔感のある身だしなみか?:ご家庭に上がる上で大切な配慮です。
  3. 子どもへの言葉遣いは丁寧か?:お子さんを尊重する姿勢が見えます。
  4. 保護者の話をしっかり聞いてくれるか?:要望を汲み取る力があります。
  5. 授業の始めと終わりに挨拶があるか?:メリハリのある指導が期待できます。

実際のところ「人として信頼できるか」

結局のところ、これに尽きるのかもしれません。
大切な子どもを預け、ご家庭というプライベートな空間に入ってもらうわけですから、「この人なら大丈夫」と心から思えるかどうかは非常に重要です。
少し厳しい話ですが、どんなに条件が良くても、少しでも違和感や不安を感じる相手であれば、やめておいた方が賢明です。
あなたの直感は、意外と正しいものですよ。

チェックポイント③:現実的なスケジュールと料金の把握

家庭教師を継続していく上で、お金やスケジュールの問題は避けて通れません。
後々のトラブルを防ぐためにも、契約前にしっかりと確認しておきましょう。

月謝の相場と実際のコスト感

家庭教師の料金は、依頼先(家庭教師センターか個人契約か)や先生の経歴によって大きく変わります。
あくまで目安ですが、一般的な相場観は以下の通りです。

家庭教師センター個人契約
中学生約2,600円/時間約2,000円/時間
高校生約3,100円/時間約2,500円/時間

注意点

  • 上記はあくまで授業料のみです。
  • 別途、入会金、教材費、交通費、管理費などが必要な場合があります。
  • 契約前には必ず「月々、総額でいくらかかるのか」を書面で確認しましょう。

「週1か週2か?」実際の効果と継続性

「早く成果を出したいから週2回で!」と意気込む気持ちも分かりますが、まずはお子さんの負担にならない範囲で、週1回から始めるのがおすすめです。
大切なのは、無理なく「継続」すること。
週1回でも、質の高い授業と正しい家庭学習の習慣がつけば、成績は必ず上向きます。
うちの長男も、最終的には週1回90分の指導で、苦手な数学を克服できました。

キャンセル時の対応など、契約内容の確認

急な体調不良などで、お休みすることもあるでしょう。
そんな時に備え、以下の点は必ず確認してください。

  • 授業をキャンセルした場合、振替は可能か?
  • 振替ができない場合、その日の授業料はどうなるのか?
  • 先生の都合でお休みになった場合の対応は?
  • 途中で解約する場合、違約金は発生するのか?

こうした細かいルールを最初にクリアにしておくことが、後々の「言った、言わない」というトラブルを防ぎます。

チェックポイント④:保護者と家庭教師のコミュニケーション体制

家庭教師の指導を成功させるには、お子さん・保護者・家庭教師の三者が、同じ方向を向いて進む「チーム」になることが不可欠です。
そのために、円滑なコミュニケーション体制を築きましょう。

報告やフィードバックの頻度・方法

指導が終わった後、先生からどのような形で報告がもらえるのかを確認しましょう。

  • 指導報告書:その日の指導内容や、お子さんの様子、宿題などが書面で分かります。
  • 口頭での報告:授業後に5分程度、直接お話を聞く時間があると安心です。
  • メールや連絡帳:忙しくて直接会えない場合でも、コミュニケーションが取れます。

ちなみに私は、授業後の先生との5分間の立ち話が、一番の情報源でした。
「今日は集中してましたよ」「この問題で少し手が止まっていましたね」といった生の声は、何より貴重です。

保護者が「言いづらいことを言える関係性」

「もう少し宿題を増やしてほしい」「指導方針を少し変えてほしい」
指導が始まると、こうした要望が出てくることもあります。
そんな時、遠慮せずに相談できる関係性を築けるかどうかも大切なポイントです。
体験授業の際に、担当者や先生が「何でも気兼ねなくおっしゃってくださいね」という姿勢を見せてくれるかどうか、チェックしてみてください。

トラブル時の連携と対応力

万が一、「子どもが先生を怖がっている」「成績が全く上がらない」といったトラブルが起きた場合、どう対応してくれるのかも重要です。
特に家庭教師センターを利用する場合は、担当の先生を交代してもらえるか、相談に乗ってくれるサポート体制があるかを確認しておくと、いざという時に安心です。

チェックポイント⑤:目標設定とそのすり合わせ

「何のために家庭教師を頼むのか」という目的を、お子さん、保護者、そして先生の三者で共有することが、ゴールへの最短ルートです。
ただ漠然と始めるのではなく、具体的な目標を立てましょう。

子ども・保護者・家庭教師の三者での目標共有

最初の面談で、ぜひ三者で話し合う時間を作ってください。

  • お子さんの目標:「次のテストで平均点を取りたい」「〇〇高校に合格したい」
  • 保護者の願い:「勉強を嫌いにならないでほしい」「毎日机に向かう習慣をつけてほしい」
  • 家庭教師の提案:「では、まずこの3ヶ月で教科書の問題を完璧にすることから始めましょう」

このように、それぞれの思いをすり合わせることで、全員が同じ目標に向かって進むことができます。

「志望校合格」だけでなく「学ぶ意欲を育てる」

もちろん、志望校合格や成績アップは大きな目標です。
でも、それだけがゴールではありません。
家庭教師との出会いを通じて、「分からなかったことが分かるようになる喜び」を知り、「学ぶことって、本当は楽しいんだ」と感じてもらうこと。
これこそが、お子さんの人生にとって、何よりの財産になると私は信じています。

現実的な目標を段階的に設定する重要性

いきなり「偏差値を10上げる!」というような高い目標を立てると、挫折の原因になります。
まずは、スモールステップで達成可能な目標を設定しましょう。

  1. 最初の1ヶ月:毎日30分、宿題以外に机に向かう習慣をつける。
  2. 次のテスト:苦手な数学で、前回より10点アップを目指す。
  3. 半年後:通知表の「3」を「4」にする。

小さな成功体験を積み重ねることが、お子さんの自信とやる気を育てていくのです。

よくあるQ&Aと実際の相談事例

ここでは、私が普段のコンサルティングでよく受けるご質問にお答えしますね。

「うちの子、人見知りなんですが…」

とても多いご相談です。
人見知りのお子さんには、特に相性が重要になります。
年齢が近いお兄さん・お姉さんのような学生の先生や、穏やかで優しい雰囲気の先生を選ぶのがおすすめです。
体験授業で、先生がお子さんの好きなこと(ゲームやアニメなど)を聞き出して、話のきっかけを作ってくれるような方だと、きっとすぐに打ち解けられますよ。

「どこまで口を出していいのか分からない」

基本的には、指導方針が決まったら先生を信頼してお任せするのが一番です。
ただし、お子さんの様子が明らかにおかしい時や、約束と違うと感じた時は、遠慮なく相談すべきです。
その際は、「指導方法が悪い」と責めるのではなく、「最近、家でこういう様子なのですが、授業ではいかがですか?」と、情報共有の形で切り出すと、スムーズに話が進みます。

「他の習い事と両立できますか?」

もちろん可能です。
曜日や時間を柔軟に調整しやすいのが、家庭教師の大きなメリットの一つです。
部活や他の習い事で忙しいお子さんほど、家庭教師は向いていると言えます。
ただし、あまりにスケジュールを詰め込みすぎると、お子さんが疲弊してしまいます。
体力的な余裕も考えて、無理のない計画を立ててあげてください。

まとめ

長い時間、お付き合いいただきありがとうございました。
最後に、初めての家庭教師選びで最も大切なことをお伝えします。

それは、「完璧な家庭教師を探そうとしない」ということです。

家庭教師選びは、条件でフィルタリングする作業ではありません。
お子さんという、世界にたった一人の存在にとって、最高のパートナーを見つける旅のようなものです。

今回お伝えした5つのチェックポイントを、もう一度振り返ってみましょう。

  • 1. 子どもの性格と相性を最優先に
  • 2. 指導力と人柄のバランスを確認
  • 3. 現実的なスケジュールと料金の把握
  • 4. 保護者と家庭教師のコミュニケーション体制
  • 5. 目標設定とそのすり合わせ

これらのポイントを心に留めておけば、きっと判断に迷った時の道しるべになるはずです。

そして、忘れないでください。
もし最初の選択がうまくいかなくても、またやり直せばいいんです。
私の長男も、2人目の先生と出会ってから、見違えるように勉強に前向きになりました。
失敗は、より良い出会いのための大切なステップです。

保護者として、お子さんのためにできる一番の応援は、焦らず、冷静に、そして何よりお子さんの気持ちに寄り添って、最適な学習環境を整えてあげること。

この記事が、あなたの家庭教師選びの一助となれば、これほど嬉しいことはありません。